アメリカの風を感じるオシャレな「ピックアップ」がスバルにもあった
スバルといえば近年は、「クロストレック」や「フォレスター」「アウトバック」など、SUVメーカーのイメージが強く、軽を除いては商用トラックを扱っているイメージはありません。
しかしかつてスバルにも、海外市場向けにオシャレなピックアップトラックを用意していたことがあるのです。
日本で「トラック」と聞くと、いわゆるキャブオーバータイプの「はたらくクルマ」か、軽トラックを思い浮かべる人が大多数かと思います。
しかし、アメリカでは「ピックアップトラック」と呼ばれるタイプの車両が、業務用としてはもちろん、日常のアシとしても人気を博しています。
大きなピックアップトラックをまるで軽トラックを乗り回すかのように気軽に使うカッコいい姿は、ハリウッド映画のワンシーンや、あるいはハワイ旅行などで実際に目にしたことがある人も多いでしょう。
日本ではトヨタ「ハイラックス」くらいしか正規で販売される国産ピックアップトラックは存在しませんが、実は北米地域に向けてピックアップトラックをラインナップしているメーカーは少なくありません。
ちなみに北米地域でピックアップトラックが人気なのは、お国柄もありますが、日本と同じく商用車が税制面で優遇されている点と、若いユーザーでも保険料がそこまで高くないという理由が多くを占めているようです。
そんなピックアップトラックは、日本では水平対向エンジンを搭載した乗用車のイメージが強いスバルも例外ではなく、1970年代から北米市場に向けてピックアップトラックを生産、販売していました。
それが1977年に販売をスタートした「ブラット」です。
このブラット、フロントマスクを見れば分かるように、ベースとなったのは当時の「レオーネ」であり、搭載エンジンや四輪駆動システムはレオーネのものを踏襲していました。
ただ当時のアメリカでは、自国のピックアップトラックを守るため、海外から輸入されるトラックに非常に高い関税が課せられていました。
他メーカーでは、現地で組み上げることでこの関税を回避していたのですが、モノコックボディのレオーネをベースとしたブラットはこの手法が使えず、荷台部分にプラスチックの座席を2つ備えることで「4人乗りの乗用車」として関税を回避していたともいわれています。
そしてブラットは1981年に2代目へとモデルチェンジ。ベースも2代目のレオーネへと移り変わりましたが、基本的なボディの作りなどは初代のものを踏襲しており、荷台に備えられた補助シートも継続して設定されていました(1985年モデル以降は廃止)。
またレオーネにはなかった装備としては「ハローツインルーフ」と名付けられたTバールーフ仕様も存在していました。
一般的なTバールーフ車と同様、ルーフパネルを外すことはもちろん、両側をチルトさせ、カモメの羽根のような状態で走行することも可能となっていたのでした。