日本人移住者が見たバリ島のペット事情 捨て犬の悲しい現実「どれだけ保護しても追いつかない」

Spread the love

現役時代から旅行好きで、特に海外に興味があったことから定年退職後に、インドネシア・バリ島に移住した【kai】さん。

年間を通して温暖な気候と、言葉や字のわかりやすさ、移住のためのビザの簡便性、そして直行便があるおかげで急な用事ができた際に日本に帰って来られる利便性からバリ島を選び、今も穏やかで楽しい日々をおくっています。

しかし、そんなバリ島で「これは納得できない」という数少ない現実も目の当たりしています。それが犬や猫に対する扱いのひどさでした。

犬猫がよく捨てられにくる村はずれの分譲住宅付近

【kai】さんが暮らすバリ島郊外にある、村はずれの分譲住宅付近は、犬猫がよく捨てられる場所で、結果的に近隣で飼われている犬猫のほとんどがここで拾われた動物たちでした。

ある時期、この分譲住宅エリアで複数の家を建てるために一時移り住んでいた大工さん一家がいました。大工さん一家は、この界隈にいた野良犬3頭をかわいがっていましたが、仕事を終えた後、元いた地元へと帰っていきました。結果かわいがられていた野良犬たちは、飼い主らしき人を失い、再び野良犬になってしまいました。

こういった「誰が飼っているかわからない犬猫」「野良の犬猫」などが多すぎるといった理由から、地域では意図的に毒餌を撒き、犬猫を毒殺することもよくあります。この大工さん一家が置きざりにしていった犬の親子3頭のうち、1頭もこの毒餌を食べて死んでしまいました。

残された親子を引き取ることに 

バリ島の野犬
バリ島の野犬

【kai】さんは当初、ワンコ好きである一方、日本に一時帰国する際などのことを考え、ペットを飼う予定はありませんでした。

しかし、前述の大工さん一家のワンコたちに、当初からおやつなどを食べさせていたこと、そして、そのうちの一頭が毒殺されてしまったことなどから、残された親子のワンコを引き取ることにしました。

バリ島のワンコはほとんどが放し飼いで、首輪をしていないワンコも多く、一見では野犬か飼い犬なのかの判断が難しいと言います。このため、【kai】さんが引き取った子どものワンコがメスだったことから、同じように放し飼いのままにしておいたら大変なことになると思い、バリ島の動物支援団体「BAWA」に依頼し、避妊手術をしてもらいました。費用は幾ばくかの寄付を行うことで手術をしてもらえました。

【kai】さんが現在バリ島で飼う4頭のワンコ

【kai】さんが現在飼っている4頭のワンコ
【kai】さんが現在飼っている4頭のワンコ

こういった経緯を経て、また、その後に縁あってやってきたワンコなども含め、現在【kai】さんのお宅には4頭のワンコが仲良く暮らしています。

まず筆頭はブラッキー。前述の大工さん一家が置き去りにしていった母ワンコで、もともとの出自が野犬でした。そのため、犬同士の縄張りやルールには特に厳しく、みんなのボス的存在のワンコです。

そして、もう1頭がホエール。子犬の頃から人が通るとよく吠えたことから、この名前に。臆病でのんびり屋さんで、新しい食べ物は、人間の手からあげても警戒して食べません。そのおかげで毒餌を食べる心配がないワンコです。

そして、もう1頭がプティ。「プティ」とはインドネシア語で「白」を意味し、全体の茶の毛色に対し、首周りが白かったことから、この名前に。4頭いるワンコの中でも抜群のズル賢さで、おやつねだりの名手です。

そして、最後の1頭がぷくぷく(福福)です。

瀕死の状態から奇跡的に回復したぷくぷく

保護された際は瀕死の状態で疥癬で毛の抜けていました。このため【kai】さんは「ぷくぷく元気に育ってほしい」と、「ぷくぷく」と名付けました
保護された際は瀕死の状態で疥癬で毛の抜けていました。このため【kai】さんは「ぷくぷく元気に育ってほしい」と、「ぷくぷく」と名付けました

ぷくぷくは当初、ダニに体をやられ毛が抜けて丸裸の状態で路上をウロウロ彷徨っていました。【kai】さんによれば「見慣れない犬なので、おそらく病気になったことで捨てられたのではないか」と言います。

かわいそうに思った【kai】さんは、当初は本格的に飼う予定ではなかったものの、餌をあげて薬を飲ませてあげました。これを半年ほど繰り返していたところ、次第に毛が生えてきました。「良かった」と安堵した【kai】さんでしたが、今度はジステンバーにかかってしまったようで、ある日野原で倒れていました。

「もう助からないかもしれない。でも、かわいそうだからうちの家で看取ってあげよう」と【kai】さんは家に連れて帰りました。後に奇跡を願って、地元の獣医師さんにぷくぷくを診てもらったところ、入院・退院を繰り返しながらも、少しずつ健康を取り戻し回復していきました。このぷくぷくの回復ぶりを診た地元の獣医師さんは、思わず涙を流したと言います。

結果的に、このぷくぷくは【kai】さん一家の一番若い、そして唯一のオスのワンコとして現在も他のワンコたちと仲良く暮らしています。

九死に一生を得たバリ島のワンコ、ぷくぷく
九死に一生を得たバリ島のワンコ、ぷくぷく

「どれだけ保護しても追いつかない状態」

ここまでのエピソードに、驚きと悲しみを覚えるばかりですが、どうしてこのようなことが起こっているのか【kai】さんに聞きました。

「バリ人は、どこかからやってきた犬が居座ると、簡単に飼うのですが、犬が小さい間はかわいがっても、大きくなると関心がなくなり放置してしまう人が多いようです。餌にしても、自分たちの食べ物が残ったときにだけ与えるような感じです。こういったことから、バリ島の犬の平均寿命は5年くらいだと言われています。

バリ島でも犬猫の保護施設があったり、個人で保護・譲渡活動を行う人がバリ人、日本人、欧米人など複数います。ただ、保護をしても放し飼いが多いことから、いつの間にか妊娠・出産することもあります。このため、どれだけ保護しても追いついていないのが現状です。現状のバリ島の保護環境はあまりに未熟と言わざるを得ません。

どうかこういった心あるバリ島の保護活動をしている施設、個人に関心を持っていただいてご支援をいただければ嬉しいです」

【kai】さんが目にしたバリ島の犬猫の悲しい現実は、YouTubeなどでも発信されています。是非チェックしてみてください。

Source taken from: https://maidonanews.jp/article/14798899?utm_source=pocket_saves

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *