再び「ウォークマン」の出番、カセットテープ人気上昇中

1988年の日本ツアーの移動中、新幹線のなかでウォークマンで音楽を聞くジョージ・マイケル(Michael Putland/Getty Images) アナログレコードに続いて、カセットテープの人気が米国や英国で再燃している。ストリーミングサービス全盛の時代にあって、アルバムを「モノ」としてコレクションできる点に音楽好きの若者らが惹かれているようだ。 英国レコード産業協会(BPI)はこのほど、英国内の2022年のカセット販売は10年連続で増え、過去20年近くで最多を記録したと発表した。調査会社ルミネートのリポートによると、米国でも同年のカセットアルバム販売数は前年比28%伸びている。 ストリーミングサービスで音楽を聴いて育ってきた若者世代のほか、カセットテープを懐かしく思い出せる年長世代の一部も、この簡素な音楽メディアに戻ってきているようだ。 カセットの復活は、かつて時代を席巻したソニーのカセット式ウォークマンが、映画やテレビシリーズのヒット作に登場したことも手伝っている。最近では、大ヒットゲームが原作のドラマシリーズ『THE LAST OF US(ザ・ラスト・オブ・アス)』でも、レトロなアイテムとして出てくる。 BPIによると、2012年にわずか3823本だった英国内のカセット販売数は2022年には19万5000本あまりと、10年で約50倍に増えた。昨年の記録的な売り上げには、インディーバンドのアークティック・モンキーズ、ハリー・スタイルズ、フローレンス・アンド・ザ・マシーンといったアーティストが最近リリースしたアルバムが寄与した。 2022年に英国で最も売れたカセットの上位20位はすべて、同年中にリリースされた作品が占めている。 英国のレコードレーベルで、ロンドンでレコードショップも運営するフラッシュバック・レコード(Flashback Records)の創業者マーク・バージェスはスカイニュース・テレビに、カセットテープの売り上げはコロナ禍後に急増していると語っている。カセットの「コレクションできる」という点がとくに若者世代には魅力になっているという。 「ストリーミングサービスでコレクターになるのは難しいけれど、カセットはコンパクトな形状なのでコレクションしやすい。また、アーティストがもともと意図していたとおりに曲が配列されている音楽アルバムを人々が求めているということもある」(バージェス) 一過性ではなさそうなカセット人気…