新型ランドクルーザーが世界初公開、原点回帰の“250”シリーズ登場!! ヘビーデューティー系の雄、”70″シリーズも堂々の日本再導⼊!

1951年の誕生以来、70数年にわたって世界各地で鍛え、育てられてきたトヨタのランドクルーザー。その新型“250”シリーズが8月2日(日本時間)に世界初公開された。同時に世界中で信頼されているヘビーデューティ系の“70”シリーズの日本再導入も発表となった。 新型のコンセプトの提案者は“あの人” 1951年の誕生以来、70数年にわたって「どこへでも⾏き、⽣きて帰ってこられるクルマ」として信頼性・耐久性・悪路⾛破性の継承と進化を続けながら、世界各地で鍛え、育てられてきたトヨタのランドクルーザー(以下、ランクルと略)。その新型“250”シリーズが8月2日(日本時間)に世界初公開された。 ランクルは今般のトヨタの分類では、常に最新技術を導⼊しフラッグシップとして進化を担うステーションワゴン(現行最新は“300”シリーズ)、⾼い耐久性、⾛破性が求められるヘビーデューティーモデル(現行最新は“70”シリーズ)、悪路⾛破性をベースに扱いやすさと快適性を付与し、⼈々の⽣活と実⽤を⽀えるライトデューティーモデル(いわゆる“プラド”系)の3シリーズで展開されてきたが、今回発表の新型“250”シリーズはライトデューティーモデルになるという。つまり新型“プラド”とも言えるのだが、そのコンセプトは明確に“原点回帰”。それゆえに今回の新型は“プラド”を名乗らなかった。 ライトデューティー系モデルは、世代の進化を追うごとに⾼級・豪華な路線にシフトする傾向にあったが、商品の最終責任者である豊⽥章男社⻑(当時)が「ランクルは⼈々の⽣活、地域社会を⽀えるためのクルマであるべきで、より多くの⼈の⽣活を⽀えるライトデューティーモデルはお客様が求める本来の姿に戻す必要がある」という基本的な考え⽅を提⽰。それを受けて開発陣は「TheLand Cruiser : 質実剛健を追求し、お客様の⽣活と実⽤を⽀え、お客様に信頼されるクルマ」という原点回帰の開発コンセプトを定め、ランクルを作り直す精神で開発を進めたという。 ボディサイズは大きくなったが、ミラーtoミラーは従来型よりも65mm狭くなっている。 ボディサイズは全長×全幅×全高:4925mm×1980mm×1870mm ホイールベースは2850mm メカニズムは徹底してブラッシュアップ! 新型“250”シリーズはランクルの中核モデルとして、“300”シリーズと同じGA-Fプラットフォームを採⽤し、オフローダーとしての基本性能を⼤幅に向上。構造は刷新されているが伝統のラダーフレームが採用されており、フレーム剛性+50%向上、⾞両全体の剛性としては+30%向上。サスペンションは新規開発でフロントがハイマウントのダブルウィッシュボーン、リヤがトレーリングリンク車軸式。悪路⾛破性の指標となるホイールアーティキュレーション(タイヤの浮きづらさ)が向上されている。 また、従来型以上にランクルの名にふさわしい⼒強い⾛りや環境性能を実現するべく、ランクル初のハイブリッドシステム“T24A-FTS型ガソリン2.4ℓターボ ハイブリッド DirectShift-8AT”からガソリンエンジン“2TR-FE型2.7ℓガソリン 6…

トヨタが新型「ランドクルーザー250」世界初公開! 14年ぶり全面刷新で「プラド名廃止」 300系弟分を2024年発売! 同時に70系再々販も

ランドクルーザーシリーズ初のハイブリッドをディーゼルエンジンに搭載へ  トヨタは2023年8月2日、新型「ランドクルーザー」を世界初公開しました。  新型ランドクルーザーは、日本で「ランドクルーザープラド」として展開されてきた「150系」の後継車として2024年前半の発売を予定しています。  ランドクルーザー(以下ランクル)は、1951年に当時の警察予備隊(現:自衛隊)向けに計画された四輪駆動車を起源としていますが、そんな長い歴史を持つランクルの派生モデルとして登場したのがプラドです。  プラドは、1985年に登場したランクル(70系)ワゴンの後継モデルとして、1990年に「ランドクルーザー70 プラド」としてデビュー。  その後、1996年にプラド(90系)、2002年にプラド(120系)、そして2009年にプラド(150系)として現在に至ります。  プラド(150系)は海外でも展開されていますが、一部地域ではプラドではなく「ランドクルーザー」として販売されているほか、商用仕様や3ドア仕様など豊富なバリエーションを揃えていることも特徴です。  そして今回、14年ぶりのフルモデルチェンジで5代目(250系)へと進化。  新型モデルでは日本でも「プラド」のサブネームが廃止され「ランドクルーザー250」に統一。  これについてランドクルーザー300・250の開発主査 森津圭太氏は以下のように話しています。 「今回のテーマが『原点回帰』ということもあり、ランクルのど真ん中という立ち位置になりました。そのため、日本ではプラドという名前がついていましたが、新型では伝統の型式名を付ける形で250系となりました」  さらに北米では2021年以来販売されていなかったことから、2年ぶりの復活ということが話題となっています。  新型ランドクルーザー”250″シリーズは、ランクルの中核モデルとして、メインモデル「ランドクルーザー”300″」と同じGA-Fプラットフォームを採用。オフローダーとしての基本性能を大幅に向上しました。  また、従来型以上にランクルにふさわしい力強い走りや環境性能を実現した多様なパワートレインを採用したほか、機能性を追求したパッケージと、伝統とモダンを融合した内外装デザインを取り入れランクルらしさを追求。 新世代のランクルとしてオフロード・オンロードを問わず操縦のしやすさと快適性を向上、かつクラストップレベルの先進安全性能も目指したといいます。…

スバルに軽じゃない「トラック」あった! しかも「荷台に座席」!? 日本じゃ売ってなかった「BRAT(ブラット)」とは

アメリカの風を感じるオシャレな「ピックアップ」がスバルにもあった  スバルといえば近年は、「クロストレック」や「フォレスター」「アウトバック」など、SUVメーカーのイメージが強く、軽を除いては商用トラックを扱っているイメージはありません。  しかしかつてスバルにも、海外市場向けにオシャレなピックアップトラックを用意していたことがあるのです。 日本で「トラック」と聞くと、いわゆるキャブオーバータイプの「はたらくクルマ」か、軽トラックを思い浮かべる人が大多数かと思います。  しかし、アメリカでは「ピックアップトラック」と呼ばれるタイプの車両が、業務用としてはもちろん、日常のアシとしても人気を博しています。  大きなピックアップトラックをまるで軽トラックを乗り回すかのように気軽に使うカッコいい姿は、ハリウッド映画のワンシーンや、あるいはハワイ旅行などで実際に目にしたことがある人も多いでしょう。  日本ではトヨタ「ハイラックス」くらいしか正規で販売される国産ピックアップトラックは存在しませんが、実は北米地域に向けてピックアップトラックをラインナップしているメーカーは少なくありません。  ちなみに北米地域でピックアップトラックが人気なのは、お国柄もありますが、日本と同じく商用車が税制面で優遇されている点と、若いユーザーでも保険料がそこまで高くないという理由が多くを占めているようです。  そんなピックアップトラックは、日本では水平対向エンジンを搭載した乗用車のイメージが強いスバルも例外ではなく、1970年代から北米市場に向けてピックアップトラックを生産、販売していました。  それが1977年に販売をスタートした「ブラット」です。  このブラット、フロントマスクを見れば分かるように、ベースとなったのは当時の「レオーネ」であり、搭載エンジンや四輪駆動システムはレオーネのものを踏襲していました。  ただ当時のアメリカでは、自国のピックアップトラックを守るため、海外から輸入されるトラックに非常に高い関税が課せられていました。 他メーカーでは、現地で組み上げることでこの関税を回避していたのですが、モノコックボディのレオーネをベースとしたブラットはこの手法が使えず、荷台部分にプラスチックの座席を2つ備えることで「4人乗りの乗用車」として関税を回避していたともいわれています。  そしてブラットは1981年に2代目へとモデルチェンジ。ベースも2代目のレオーネへと移り変わりましたが、基本的なボディの作りなどは初代のものを踏襲しており、荷台に備えられた補助シートも継続して設定されていました(1985年モデル以降は廃止)。  またレオーネにはなかった装備としては「ハローツインルーフ」と名付けられたTバールーフ仕様も存在していました。  一般的なTバールーフ車と同様、ルーフパネルを外すことはもちろん、両側をチルトさせ、カモメの羽根のような状態で走行することも可能となっていたのでした。

もし日本のクルマの半分がEVになったら仕事が激減する職種と生き残る道

日本自動車工業会によると、日本で自動車に関連する産業で働く人は、およそ550万人。車両開発から生産、販売、アフターマーケットなど、さまざまな業種があるが、そのなかでもエンジンに関係する業務は非常に多く、とある試算では、新車販売のすべてがバッテリーEVとなった場合、100万人規模の雇用喪失が発生する可能性があるという。  2022年の日本市場における新車販売台数(乗用車全体)に占めるEVの割合は1.71%(5万8813台)で、前年(0.59%)を大きく上回った。軽自動車である日産サクラ/三菱eKクロスEVの登場でかなり普及したとはいえ、世界の先進地域と比べるとまだまだ少なく、たとえば近年では中国で新車販売台数の約20%、欧州は約10%、アメリカは約5%の新車販売がEVになっている。  これが、日本でもいずれ50%まで増えるのか(本当に増えるのか?)、それまで何年くらいかかるのか、保有比率はどうなるのか、などを予想するのは難しいが、それでも「EVはいずれ今よりずっと増えるだろう」とは思うし、そのための準備はしておいたほうがいいだろう。  ではもし、日本のクルマの半分がバッテリーEVになったら、どのような仕事がなくなってしまうのか。具体的な業種・職種を挙げながら、それらの仕事に従事する人々の生き残り策の事例についてもご紹介しよう。 文:吉川賢一写真:NISSAN、TOYOTA、SUBARU、Adobe Stock、写真AC エンジンパーツ専門業者  真っ先に仕事に影響を受けるのが、エンジン補器類や燃料タンク、エンジン補器類などを専業で製造し、自動車メーカーへ納品してきた中堅・中小自動車部品サプライヤーたちだろう。特に、モーター駆動には不要となる吸気ダクトや排気管、オルタネーター、燃料タンク、トルクコンバーター、タイミングベルトなどは、最初に外されるパーツだ。このような需要に依存してきた業者(その下請け業者含め)は、すでに事業方針を変える決心をしていることだろうと思う。  このような事業者に対しては、国から支援も用意されている。経済産業省は、自動車の電動化の進展に伴って、需要の減少が見込まれる自動車部品(エンジン、トランスミッションなど)の業者が、バッテリーEV部品製造への転換や、軽量化等の技術適応をおこなう業態転換・事業再構築の支援を、2022年8月より開始している。全国各地に支援拠点を設置しており、相談受付を開始しているそうだ。 エンジンオイル、クーラント液などの製造メーカー  エンジンがモーターに切り替わってしまうと、エンジンに必須のオイル類は不要となる。エンジンの冷却、潤滑、洗浄、防錆、密封が役割のエンジンオイルは不要となるし、エンジン内部を循環してエンジンを冷却するクーラント液も不要となる。  ブレーキオイルやミッションオイルなど、バッテリーEVとなっても必要とされる油脂類はあるが、ギア1速でも十分な速度カバーレンジをもつモーター駆動の場合、トランスミッションの必要性は低く、ミッションオイルは最小限となるため、ミッションオイルへの需要は減る傾向になる。参考だが、日産R35 GT-Rのミッションオイルは10L必要だが、日産リーフでは、たった1.4Lで済んでしまう。  オイル自体はあらゆる機械で求められる重要アイテムであり、オイルメーカーとしては、自動車以外へ転用する道筋を、既に立てていることだろう。 ガソリンスタンド  そしてもちろん、日本のクルマの半数がバッテリーEVになってしまったら、ガソリンの需要はガタ落ちとなるため、ガソリンスタンドも、従来の通りの経営では継続不可能となる。…

「出光カラーが似合いすぎ問題!」トラックスタンスの真髄に触れる若きプライベーターのEG6シビックに迫る

背負ったグラフィックは速さの証明書 走り優先のメイキングに美しさへの拘りが息づく ベース車両は、オーナーの“やなぎ”さんが社会人になる直前に知人から7万円で購入した個体。しばらくはマイペースにイジりながら走りを楽しんでいたが、予期せぬクラッシュを機に方向転換。どうせ直すなら…と、大幅なリメイクを決意して現在の仕様へと進化させたという。 「とくにシビックに強い拘りがあったわけではなく、7万円という安さに釣られましたね(笑)」と、愛車との出会いを振り返る。 細部を見ていく。エンジンルームは群馬県伊勢崎市に店舗を構える“HERO”が製作。エアコンやパワステといった快適装備は全て撤去した上で、ワイヤータックやシェイブドベイの妙技を炸裂させ、見せるためのクオリティも極めた。 パワーチューンにも余念なく、エンジン本体はB16AからEK9などに搭載されたB16Bへとスイッチ。内部も戸田レーシング製の鍛造ハイコンプピストンやBカム、ナプレックによるヘッド面研など徹底的なポテンシャルアップが図られている。制御はアペックスのパワーFCによって行い、およそ200psを絞り出す仕様だ。 インテークには、チューニングエンジンにも対応できる容量と最適な内部構造を持つスカンク2製のインマニを投入。エキゾースト環境は、上流部から戸田レーシング製EXマニ、スプーン製センターパイプ、スプーン製N1マフラーというレイアウト。 ヘッドカバーはEFシビックのものを流用。これは出光カラーに仕様変更の際に導入されたアイテムだ。聞けば、当時の資料を見ると実車の出光シビックもEFのヘッドカバーを採用していたのだとか。 サスペンションはアペックスのN1ダンパー(F22kg/mm R18kg/mm)を軸に構築。ブレーキにはディクセルのキットを用いて、前後にEK9用のキャリパーとローターを投入している。ホイールはエンケイのRPF1RS(8.0J+28)で、タイヤはアドバンA050(FR205/50-15)。タイヤレターに絶妙に被る車高が、やなぎさんの辿り着いたベストセッティングだ。 室内は最低限の内張りのみを残したドンガラ&シングルシート仕様。車重は900kg程度というから恐れ入る。シートはブリッドのジーグIII、ロールケージはサイトウロールケージ製の11点式だ。 ミッションはATSのクロスギヤキットを組み込みつつ、IRPのシフターを合わせてクイックシフト化。その後方に確認できるのは、チェイスベイ製のブレーキバランサーだ。 そして特徴的な出光カラーについては、シビック入手前から憧れがあったそうだが、実際にこのカラーリングの施工を決意したのは2022年に入ってからだったりする。 その理由について、やなぎさんは「シビックの出自を考えれば、出光カラーが似合うのは分かっていました。でも、実際にサーキットで速い車両でやってこそ意味があると思ったんです。なので、自分の中でハードルを作ったんです」と語る。 自らに課したハードル、それはずばり「日光サーキット38秒」である。40秒切りが一つのステータスになっているステージであることを考えれば、かなりの難関だ。しかも、走りに全振りした生粋のサーキットスペックではない。 しかし、諦めずにセッティングを見直しながら走り込みを続けた結果、2021年のタイムアタックシーズンで見事に目標を達成。晴れて、出光カラーへの仕様変更に踏み切ったのである。…

【車のカスタマイズ】細かなパーツの塗り分けも事前に確認できる!ウェブサイト上で疑似体験できるサービスが登場

ウェブサイト上で自分好みの車をシミュレート 新車・中古車のカスタム専門店である株式会社パパママカーズは、ウェブサイト上で自分好みの車をシミュレートできる、「カラーカスタマイザー by PAPAMAMA CAR’S」を、2023年3月31日に公開しました。 「カラーカスタマイザー」は、どなたでもインターネットに接続されたパソコンやスマートフォンから、車のカスタマイズを疑似体験できるサービスです。 カラーピッカーを使ってボディの色味を細かく調整したり、パーツごとに塗り分けたり、ホイールやタイヤなどのオプションパーツを付け替えたりといったカスタマイズがシミュレートできます。(2023年3月31日時点では9車種を搭載。) ■デモムービー https://youtube.com/watch?v=zT37uwdsW30%3Frel%3D0%26origin%3Dhttps%253A%252F%252Ftokusengai.com%26playsinline%3D1%26modestbranding%3D1%26enablejsapi%3D1%26loop%3D1 カラーカスタマイザーby PAPAMAMA CAR’S デモムービーyoutu.be 開発の背景 車のカスタマイズが当たり前の社会にしたい。 オーダーカラーで全塗装する場合、特にパーツの細かな塗り分けが伴う場合は、事前に車全体の仕上がりイメージをカスタマーに見せることが難しく、このことがカスタマイズへの敷居を高くしていました。…

衣食住から芸術に及んだ“竹”の魅力を発信する農場

日本各地に伝わる手仕事や、受け継がれてきた技を次世代へ伝えようと、活動をしている「uraku」。彼女たちが旅のみちみちで出会う日本の美しい風景や物、事、そしてそこに集う人々のつながりを、メルセデスと共にみつめる旅紀行。女性2人ならではのロードストーリー。前編に引き続き、立春を間近に控えながら、10年ぶりの大寒波で積雪も見られた栃木県の旅中編は、この地で代々竹を育てながら、竹という植物そのものの魅力を発信している農場を訪ねます。 宇都宮市郊外の美しい竹林 前編に引き続き、今回の栃木県の旅は、栃木の県庁所在地である、宇都宮へ向かいます。春の兆しが見え隠れする立春の頃だというのに、10年に一度と言われる大寒波で宇都宮にも雪が降り、気温もかなり下がりました。今回の目的地である「若竹の杜 若山農場」は、昨日訪れた塩谷から車で30分ほどの場所、宇都宮市の郊外にあります。この辺りも雪は降ったようですが積雪はなく、ほんの少し南に位置することと、標高が少しだけ下がったというだけで、こんなに雪の影響が違うのかと、驚きながらも少し安堵で胸を撫で下ろしながらの移動です。今回も前回に引き続き旅を共にするのは、メルセデスEQの次世代プレミアムEVセダン「EQE 350+」。カラーはハイテックシルバーです。メルセデスEQ初のミドルセダンタイプの「EQE 350+」はスポーティでなめらかな流線形のフォルムが美しく、よりモダンな車体が特徴です。これまでのEQシリーズよりも延びた走行距離のおかげで、充電の心配も少なくなり、少し遠出の旅も安心してドライブが楽しめます。車内空間も見た目よりはゆったりとしていて、快適に過ごせます。さて雪の影響もなく快適なドライブを楽しんでいたら、目の前に美しく整備された竹林の風景が見えてきました。いよいよ目的地へと到着です。 350年前から続く農園 今まであたりに広がっていた田園風景とは明らかに違う、見事な竹の林。宇都宮駅から車で20分ほどの距離しか離れていない場所に、「若竹の杜 若山農場」はあります。到着すると大柄で柔らかい笑顔の男性が出迎えてくださいました。この農場のオーナーの若山太郎さんです。積雪こそしなかったものの、朝の冷え込みはかなりのもので、水道が凍ってしまったというアクシデントのためスタッフの皆さんが慌ただしく作業をされている中の訪問にもかかわらず、快く迎え入れてくださいました。 この場所は、若山太郎さんのご先祖が350年ほど前の1670年に移り住み、代々農業を生業とされていた土地です。竹を栽培し販売を始めたのはおよそ150年前の曽祖父の代の頃からで、その後祖父の時代には竹と栗の農家として生計を立てていたのだそうです。敷地に入ると大きな駐車場があり、正面に受付とショップの入った建物があります。その脇には大谷石でできた立派な蔵があります。蔵というイメージに収まらない大きな建物で、屋根まで大谷石で作られているのだそうです。この建物の一角に竹工芸品のギャラリー&ミュージアムも最近オープンされたのだとか。まずは竹林を見て回りましょうということになり、ゆっくり竹林の中へ向かいます。 丁寧に手入れされた美しい竹林 およそ24ヘクタールあるという大きな敷地には、きれいに整備された竹林が広がっています。栽培されているのは孟宗竹、金明孟宗竹、真竹、亀甲竹、など、数種類の違う表情を見せる竹が栽培されています。また敷地内には、大きな樫や欅の木、隈笹などの数種類の笹、湧水でできた池もあり散策するだけでも気持ちのよく、楽しめる場所です。実際この農場は一般に開放していて、受付をして農場内をお散歩はもちろん、他にもいろいろな体験ができます。さらさらという竹の葉が揺れる音が心地よく、癒されながら奥へと進みます。きれいに整備された竹林は、竹と竹の間隔が程よく空いていて、その合間にさす日の光が美しく、体全体で心地よさを感じられる空間です。竹林の中に入って上を見上げると、視覚に入ってくる真っ直ぐ上に伸びる竹の姿のせいか、自分の意識が真っ直ぐ上に立ち上るような、シュッと背筋が伸びるような清々しい感覚に陥ります。 野山の中の竹林と違い農場なので、平らな土地に広がっていることや、竹を運ぶためトラックなどが通れる農道が整備されているので、ここはさまざまな撮影のロケ地として使用されているそうです。「るろうに剣心」や「キングダム」といった映画や、プロモーションビデオなど、そういえばあのシーンかもと思い当たるものばかりです。 竹の不思議な生態と魅力 美しい竹林の中を歩きながら、若山太郎さんは、まずは竹を知ってもらうにはその生態からと、丁寧に説明してくださいました。 この農園にある立派な竹は一体どのくらいの年月で育つのかと疑問思っていたのですが、竹はどの竹も、ほぼ2ヶ月で伸び切ってしまうそうです。その後はそれ以上の大きさに成長することなく、地下茎を伸ばしクローンのような新しい竹を生み出していきます。8年ほど活発に活動しそれを終えると2年ほどでその竹は寿命となります。私たちが普段目にしている竹はおよそこのように10年ほどで役割を終えているのです。でもそれは地表に見えている部分、稈(かん)のお話。地下でつながってどんどん筍の芽を出し竹となる、というサイクルを繰り返します。そしておよそ100年ごとに1度だけ花を咲かし、地下茎で広がるのでなく、遠くへ子孫を移動させる活動も行うのです。実は竹は目に見えている1本1本が独立しているのではなく、地下に広がる部分とまとめて一つの大きな生命体なのだということがよくわかります。一見10年サイクルで短いのかなと思いきや、100年間隔の気の長い戦略を持った、他の植物とは少し違う不思議なシステムの植物なのです。…